決闘(デュエル)前編
「そえばサウンドデュエルって何するんだっけ?」
学校帰り、タケルが何か思い出したように質問する。
「真のサウンドデュエリストになるために戦う"サウンドデュエラー達の熱きDJバトルもの"とあらすじには書いてあるが1話以降、数年に渡り1度もアップされていないので詳細は不明だ」
メガネが回答する。
「ふーん」
目の前に純白のロールスロイスが止まり、後ろから金持ちそうな少年が降りてきてタケルらの前に立ちふさがった。
「タケル!ボクはあのデュエル、認めないんだからな!!」
「はあ、誰このガキ?」
「余裕だな!オマエは年末のデュエルキングダム決勝で汚い手を使いこの時政(ときまさ)に泥水をかけた。あの戦いを忘れたとは言わせないんだからな!」
「ふーん、そうなんだ。知らなかった」
「な、なんだとー?」
「だって1話からずっとアップしてないからそんな伏線あんの知ンないし」
「ふざけるな!とにかく今すぐこの汚名を返上してやるからな。ボクともう一度デュエルしろ!」
「えー、めんどさい」
「そう来ると思ってたよ。では、これならどうかな?」
時政と名乗る少年はジャケットの胸ポケットから一枚の写真を取り出しタケルに見せつけた。
するとそれはなんとタケルの激押しアイドル琴原さゆみの水着生写真だった!
(どうやってゲットしたんだ!これはなんとしても欲しい!!)
「これが欲しければ、ボクと戦え!オマエが勝てばこの写真をくれてやる。けど、負けた場合はサウンドデュエリストのタイトルをボクに渡してもらうからな!」
「いいだろう。燃えてきたぜ!」
こうして己のプライド vs 己の欲望が交錯した熱き決戦(デュエル)の火蓋が切って落とされようとしていた。。。
つづく
宿敵(ライバル)後編
前回のあらすじ
UK世界大会でぴろるに敗退し連戦連勝の記録を汚された逆恨みから海座(DJカイザー)は復讐計画を企てAKBケバブを買収。
店を密かに改造しオーナーの権限を使って負けたらクビ、断ってもクビ(店長含)を条件にぴろるにサウンドデュエルの挑戦を叩きつける。
人通りでごった返すホコ天の秋葉原中央通りに突如出現したサウンドデュエル特設ステージ。
己のプライドVS己の生活を賭けたサウンドデュエリスト達の熱き戦いが
今、始まろうとしている。。。
グイ-ン>>
エレベータを上がり、ここは特設ステージ。
中央通りに側して秋葉原駅側と反対側に機体が一機づつ、互いが向い合うようセットしてある。
海座は秋葉駅側の機体に、ぴろるは反対側にセットインした。
海座さまー!
黄色い声が響く。
「死の覚悟はいいか、ぴろるよ」
「この戦い、絶対負けるわけには行かない。俺は勝つ!」
「フン、このDJカイザー様を前によくそこまでほざけたものだ」
「この日のために用意したスーパーウルトラソリッドサラウンドシステムで貴様を木っ端みじんに葬ってくれるわ!」
「つーかさっきからずっとあんた何言ってんの?俺あんたのことなんて知らないんだけど」
「は、はぁ?ほ、ほざけ、俺と貴様は昨年UK世界大会の決勝戦でデュエルしたではないか!あの俺との戦いを忘れたとは言わせんぞ!」
「俺があの時見ていたのは、【コスプレ金髪白人美女とのセクロス権】だけだ!お前のことなんか興味ないし、顔も名前も覚えていない」
「な、なんだと!!連戦連勝のサウンドデュエリストとして名声名高いこのDJカイザー様を、き、貴様、知らんと抜かすのか?!興味ない?この俺を・・・・」
自尊心の塊でできている海座のプライドはズタズタに引き裂かれた。
「マインドクラッシュ。お前の心は砕け散った。今のお前にはもはや次のディスクを選ぶこともできないだろう」
「俺の勝ちのようだな、海座」
海座は呆然と立ち尽くし、目も虚ろになっている。
ぴろるはトドメのスペルを追撃した。
「お前はたしかにモテる。そして金持ちだ。だが、それはお前の真のサウンドデュエルの実力で勝ち得たものじゃない」
「お前がモテて金持ちなのは、ちょっと見た目がかっこ良さげな金持ちの御曹司デュエラーだからだってゆうことを忘れるな!」
ぴろるはジェラスをむき出しにそう言った。
海座(DJカイザー)は聞いているのかいないのか、ぼー然としたまま無反応だった。
そうして、伝説の戦いの幕は静かに終焉を迎えた。
完
宿敵(ライバル)前編
:::読みきり作品:::
主人公ぴろると宿敵【海座】との戦いを描いた作品。
■浦野(ぴろる)
真のサウンドデュエリスト(有名になってモテたい、金持ちになりたい)を目指し、普段は秋葉原の中央通り沿いにあるAKBケバブでバイトする青年。
デュエルで特に目立った実績はなかったが、前年UKにて行われた世界大会の優勝者に与えられる【本場コスプレ金髪白人美女とのめくるめく一夜権】を手にするため、なけなしのバイト代を使って出場。
その執念から一位の座を獲得する。
■海座(DJカイザー)
風俗やキャバクラなどを経営するナイトレジャー産業、海座財閥の御曹司。レアディスクコレクターとしても有名な連戦連勝のサウンドデュエリスト。
世界大会でぴろるに敗退したことからプライドが傷つけられぴろるに異様な復讐心を燃やす。
宿敵(ライバル)前編
「貴様!今すぐ俺と戦え!デュエルだ!!」
とある日曜の昼間、人通りでごった返すホコ天の秋葉原中央通りにけたたましい声が鳴り響いた。
「はぁ、お客さん。ご注文は何にしますか?ケチャップ、マヨ、ミックスがありますけど」
「ケバブなどいらん!俺は貴様とデュエルをして徹底的に叩きのめしたいだけだ!!」
「あのー、今バイト中なんで後にしてもらっていいすか?つーかケバブ買わないんなら他のお客さんに迷惑なんでどっか行ってもらえます」
列に並んでる他の客がいったい何が起こってるのかと、苛立ちと不安げな顔でこちらの様子を伺っている。
「何だと貴様!この連戦連勝のサウンドデュエリストであるこの俺にたった一度勝ったからといって調子に乗りおって。俺を愚弄する気か!許さんぞ!!」
「なになに~浦野くん、クレームなら勘弁だよ」
奥から店長が出てきた。
「すいませんね~、お客さん。ウチの店員が何か粗相をしましたか?」
「かっ、海座さま!」
店長が急に慌てふためいた。
「お前、いったいこのお方に何をしたんだ!このお方はフーゾク(大声)などのナイトレジャー産業を営んでおられる海座財閥のご子息様で先月からこのAKBケバブのオーナーでもあるんだぞ!」
ややコーフン気味に店長がそう言った。
「店員の教育がなってないようだな、店長よ」
「すっ、すいません海座さま。ほらお前、何やってんだ、早く謝れ!」
「いや、別に僕なにも悪いことしてないスよ。この人が客でもないのに大声で変なことわめくので他のお客さんに迷惑かなと」
「貴様、まるで自分の立場が分かっていないようだな。この店は貴様が働いていることを知り、貴様をゆさぶるため先月俺が買収したのだ」
「貴様が俺とデュエルして俺に勝てば、何もなかったことにしてやろう。だが、断る場合、無条件で貴様そして店長もクビだ!」
(え!?なんで俺まで・・・・)
店長はその時そう思った。
「な、何だとー、きったねぇ真似しやがって。一体なんのつもりだ!」
「言ったはずだ。俺はただ貴様とデュエルをして叩きのめしたいだけだと」
「こっちはお前と違ってバイトしないと生活できないんだよ!」
「貴様に選択の余地はない。今俺とデュエルするか、店長もろともクビになって路頭をさまようかだ」
(クッソー、今クビになったら今月の家賃払えないし、つーか色んなトコ100回以上面接してやっとゲットしたかったバイトだし。これはヤバい)
店長はガクブル状態で恨めしそうにこっちを見ている。
「さあ、どうする?貴様に選択の余地は残されておらんぞ」
「分かった、やってやんよ!けどデュエルするったって何処でやんだよ」
ぴろるはふてくされながらそう言った。
「フッ、心配には及ばん」
そう言うと海座はポケットから手のひらサイズの機械を取り出しスイッチを押した。
するとなんと、店の天上が中央から左右に屋根ごとバカンと割れて観音開きにオープンし、中央通りにサウンドデュエルを行うための特設ステージが轟音と共に突如現れた。
ありえない光景に通りを行く人の動きが止まり、こちらを注目している。
「貴様とはここで戦う!この店を買収した時から密かに毎日深夜、改造しておいたのだ。そしてついに昨日出来上がったというわけだ」
「さぁ、ぴろるよ!今ここにいる全員がオーディエンスだ!秋葉原の公衆の面前でこのDJカイザー様に大敗し、赤っ恥をさらすがいい!ハーッハッハッハッ!!」
「あー!DJカイザーだ。キャー!かっこいい!」
女子高生が騒いだ。
「なるほど。しかしデュエルするのはいいが、今俺はディスクを持っていないぜ」
「問題ない、ディスクならここにある」
今度は巨大なケバブが刺さった全てのグリルがくるりと反転し、大量のディスクが収められた棚が出現した。
「この中には今まで発売された全てのディスクが入っている。好きなディスクを選べ!」
そしてぴろるは制限時間内に規定である40枚のディスクをディスキングした。
「用意は整ったようだな」
「ああ」
海座は店内の奥に出現した特設ステージへ続くエレベータに乗り込み、ぴろるもそれに続いた。
続く